株価チャートを開いたとき、まず目に入るのが「移動平均線」ではないでしょうか。
シンプルな線に見えて、実はこの一本が相場の心理を表しています。
■ 移動平均線とは?
ある一定期間の株価の平均値を線でつないだもの。
たとえば「25日移動平均線」は、過去25日間の終値の平均を毎日計算して結んだ線です。
つまり、「最近の株価をならして見たとき、全体の流れは上?下?」を教えてくれる線なんです。
■ なぜ必要なの?
移動平均線が必要な理由は、
「チャートのノイズ(揺れ)」を消して、
本当のトレンドを見やすくしてくれるから。
相場の世界では、上がったり下がったりを繰り返しながらも、
「全体として上昇しているのか」「下降しているのか」をつかむことが大切です。
その“流れ”をつかむための、いわば羅針盤のような役割を果たすのが移動平均線です。
■ みんなが見ている線=動く線
ここがとてもおもしろいところ。
移動平均線は、たくさんの人が同じ期間を見ているほど効く線になります。
たとえば「25日線」や「75日線」は、多くの投資家がチェックしている代表的な線。
多くの人が意識しているということは、株価がその線に近づいたとき、
「そろそろ買いかな」「一度売っておこうかな」といった心理が働きやすい。
つまり、多くの人が見ているからこそ、実際に株価が反応するんです。
これは、行動経済学でいう「セルフ・フルフィリング・プロフェシー(自己成就予言)」の世界。
「みんながそう思うから、そうなる」――そんな人間心理が、相場にも表れているんですね。
■ どの線を見る?
実は、移動平均線にも種類があります。
単純移動平均線(SMA)、指数平滑移動平均線(EMA)、加重移動平均線(WMA)、ハル移動平均線(HMA)などなど…。
たとえばSMAは「みんなが見ている線」なので、節目として機能しやすい。
一方EMAやHMAは反応が早く、トレンドの転換を早めに捉えたいときに便利です。
大切なのは、「どれが一番正しいか」ではなく、
自分がどんな相場のリズムを見たいか。
■ きらトレメモ 💡
「相場の未来を読むことはできない。
でも、みんながどこを見ているかを知ることはできる。」
移動平均線を使う目的は、未来を当てることではなく、
みんなの視線を感じ取ることなんですね。



