ピーター・リンチ|投資のヒントは、身近なところにある

普段、買い物をしているときに、「この商品、最近よく見かけるな」と思ったことはありませんか。

スーパーに行くと、いつも売り切れている商品がある。友人との会話で、同じメーカーの名前を何度も聞く。以前はあまり知られていなかったお店に、いつの間にか行列ができている。

そんな日常のちょっとした変化が、株式投資を考えるきっかけになることがあります。

この考え方で知られているのが、アメリカの著名なファンドマネージャー、ピーター・リンチです。

彼は、投資のヒントは証券会社のレポートや専門家の話の中だけにあるわけではない、と考えていました。私たちの身近な生活にも、企業の成長に気づく手がかりがあるということです。

マゼラン・ファンドで残した実績

ピーター・リンチは、1977年から1990年まで、米国のフィデリティが運用するマゼラン・ファンドの責任者を務めました。

その間、ファンドは年平均約29%のリターンを記録したとされています。運用資産も大きく拡大し、リンチは優れた運用実績を残した人物として知られるようになりました。

彼の投資について興味深いのは、身近なところから投資のヒントを探していたことです。

誰もが知っている商品や、普段利用しているお店。そうした企業に注目することもありました。

ただし、ここで勘違いしたくないのは、身近な企業なら何でも投資対象になるわけではない、ということです。

商品が人気だからといって、会社の利益が増えているとは限りません。売上が伸びていても、コストがかさんで利益が出ていない場合もあります。世間で話題になっている頃には、すでに株価が大きく上がっていることもあります。

身近なところからヒントを見つけ、その先を調べていく。そこが大切なのだと思います。

スーパーの棚から、何が見えてくるのか

例えば、いつも利用しているスーパーで、以前は見かけなかった商品が目立つようになったとします。

気になって調べてみると、その商品を扱う会社の売上が伸びているかもしれません。新しい店舗を増やしていたり、海外への販売を始めていたりするかもしれません。

そこまで調べて初めて、投資の候補として考える材料が出てきます。

反対に、商品が人気でも、競合が多くて利益が伸びていないこともあります。話題性が一時的なものに終わることもあるでしょう。

だから、「この商品はよさそう」で終わらせず、会社の決算や業績の変化も見ておきたいところです。

株式投資というと、難しい経済指標や専門的な分析から始めなければいけないと思う方もいるかもしれません。

もちろん、そうした知識も大切です。でも、最初のきっかけは、普段の生活の中にあってもいいのです。

自分が気になった商品やサービスについて調べることなら、少し取り組みやすいのではないでしょうか。

知っていることと、投資できることは違う

リンチの考え方を学ぶときに、もうひとつ気をつけたいことがあります。

それは、よく知っている企業だからといって、必ずよい投資先とは限らないということです。

自分が好きな商品を作っている会社には、どうしても好意的な目を向けてしまいます。商品が好きだから株も買いたい、という気持ちになることもあるでしょう。

でも、商品を気に入っていることと、その会社の株を今の価格で買う価値があることは、別の話です。

会社の利益はどうなっているのか。今後も成長できそうなのか。競合する会社に負けない強みがあるのか。そして、現在の株価にはどこまで成長が織り込まれているのか。

こうした点を調べていく必要があります。

日常で見つけた気づきは、あくまでも出発点です。そこから一歩踏み込んで調べることで、初めて投資判断につながっていきます。

日常の気づきを、投資の勉強に変えてみる

私たちは、毎日の生活の中でさまざまな企業の商品やサービスに触れています。

よく行くお店、使い続けている化粧品、家族が気に入っている食品、最近よく耳にするサービス。少し意識してみると、興味を持てる企業はいくつも見つかるかもしれません。

気になる会社があったら、まずは名前を調べてみる。上場している会社なのか、どんな事業をしているのか、売上や利益はどう変化しているのか。

いきなり株を買う必要はありません。調べた会社をしばらく観察して、実際の業績や株価がどう動くのかを見てみるだけでも、勉強になります。

ピーター・リンチの考え方から学べるのは、投資のヒントを見つける場所は、必ずしも特別な場所でなくていいということです。

ただし、気づいたことをそのまま売買につなげるのではなく、きちんと調べて確かめる。そのひと手間は欠かせません。

皆さんの身近にも、気になっている企業はありませんか。

いつも買っている商品のメーカーでも、最近よく見かけるお店でも構いません。まずは、その会社がどんな事業をしていて、どのように利益を上げているのかを調べてみる。

そんなところから、投資の勉強を始めてみるのもいいと思います。