EMAがどのように指数的に計算されているのか ―新しい情報をちょっと多めに信じる線のヒミツ

■ 「指数的」って、難しく聞こえるけれど…

指数的という言葉を聞くと、
「なんだか数学っぽい」「むずかしそう」と感じるかもしれませんね。

でも実は、EMAの「指数的」とは、
新しい情報を少し重く見て、古い情報は少しずつ忘れていくという仕組みのことなんです。

たとえば、こんなイメージで考えてみてください

昨日の株価はとても大事。
おとといの株価もまあまあ大事。
でも1か月前の株価は、もうほとんど影響しない。

このように、最近の情報を強く信じるようにウェイトをかけて平均していくのが「指数平滑移動平均線」です。


■ どんなふうに計算されているの?

ざっくりと式で書くと、

今日のEMA = 昨日のEMA + α ×(今日の終値 − 昨日のEMA)

という形になっています。

この α(アルファ)が平滑化係数と呼ばれるもので、
新しい値にどれくらい重みを置くかを決めています。

たとえば、10日EMAなら
α = 2 ÷ (10 + 1) = 0.18(およそ18%)

つまり、今日の株価を18%、過去の流れを82%のバランスで反映する、ということなんですね。

イメージでいえば、
「新しいニュースはしっかりチェックするけど、
これまでの流れもちゃんと覚えておく」というバランス型の人。


■ SMAとの違いを、もう一度

比較項目 単純移動平均線(SMA) 指数平滑移動平均線(EMA)
計算方法 すべてのデータを均等に平均 新しいデータに重みをつける
反応の速さ ゆっくり(遅行型) 早い(先行型)
長所 安定してだましが少ない トレンド転換を早く捉える
短所 反応が遅い ダマシが多くなることも

■ どう使い分ける?

  • 短期トレードでは、EMAのほうが向いています。
     → 新しい動きにすぐ反応し、勢いの変化を早めに察知できるから。

  • 中長期トレードでは、SMAのほうが安定。
     → ゆっくりとしたトレンドを見やすく、過剰反応しにくいから。

実際のチャートでは、
「短期=EMA」「長期=SMA」と組み合わせるのが定番です。
この2本の線がクロスするタイミング(ゴールデンクロス・デッドクロス)は、
多くの投資家が注目しています。


■ きらトレメモ 💡

EMAは「今の風向き」に敏感な線。
SMAは「地形」を見て進む線。

風(短期の勢い)を読むか、地形(全体の流れ)を読むか。
どちらも大切ですが、
EMAをうまく使うと、トレンドの変化を感じ取る感覚が磨かれていきます。