何か新しいことを始めようとするとき、「自分には無理かもしれない」と思うことはありませんか。
経験がない。知識も足りない。お金だって、十分にあるわけではない。
そんなふうに考えていると、始める前から諦めてしまうことがあります。
アメリカの不動産業界で成功を収め、テレビ番組『シャーク・タンク』の投資家としても知られるバーバラ・コーコラン。彼女の経歴を見ると、最初から恵まれた環境にいたわけではないことがわかります。
1,000ドルから始まった不動産ビジネス
バーバラ・コーコランは、ニュージャージー州の大家族で育ちました。きょうだいは10人以上。大学を卒業した後も、さまざまな仕事を経験しています。
1970年代、彼女は当時の恋人から1,000ドルを借りて、不動産会社を立ち上げました。
その会社が、後にニューヨークの不動産市場で知られるようになる「コーコラン・グループ」です。
ただし、最初からすべてがうまくいったわけではありません。事業を始めた後、恋人との関係も終わりを迎えます。
彼女の人生を紹介する話では、別れ際に相手から成功を否定するような言葉をかけられたというエピソードも語られています。
その言葉がどこまで彼女の原動力になったのかは本人にしかわかりませんが、少なくとも、限られた資金から自分の事業を始め、成長させていったことは確かです。
大きな資金や特別な肩書がなくても、事業を始めることはできる。ただし、始めることと成功させることの間には、地道な努力が必要です。
物件を売るのではなく、暮らしを伝える
バーバラの不動産ビジネスで興味深いのは、物件そのものだけでなく、そこに住む人の暮らしを想像させる工夫をしてきたことです。
家を探している人が知りたいのは、部屋の広さや価格だけではありません。
この家でどんな生活ができるのか。通勤は便利なのか。家族とどんな時間を過ごせるのか。
同じ物件でも、伝え方によって受け取られ方は変わります。
もちろん、魅力的に見せることと、事実以上によく見せることは違います。それでも、相手が何を求めているのかを理解し、その価値をわかりやすく伝える力は、ビジネスにおいて大切です。
これは、不動産だけの話ではありません。
企業の商品やサービスも、性能や価格だけで選ばれるとは限りません。顧客がどんな問題を解決したいのか、どんな価値を感じるのか。それを理解することが、企業の成長につながる場合があります。
投資先の企業を調べるときにも、「何を売っているのか」だけでなく、「なぜ顧客に選ばれているのか」と考えてみると、見えてくるものが変わるかもしれません。
断られたとき、どう考えるか
バーバラ・コーコランは、現在では起業家や投資家としても活動し、テレビ番組『シャーク・タンク』では起業家の事業に投資するかどうかを判断しています。
番組では、厳しい質問を投げかけることもあります。
事業に魅力があっても、利益が出る仕組みが弱ければ投資できない。創業者の情熱が強くても、市場や競争相手についての理解が不十分なら、慎重に考える必要がある。
投資する側も、提案する側も、思いどおりにならないことはあります。
そこで大切なのは、断られたことだけを見て、自分には価値がないと決めつけないことです。一方で、否定された理由をすべて無視して、ただ前に進めばいいわけでもありません。
何が足りなかったのか。伝え方に問題があったのか。それとも、事業そのものを見直す必要があるのか。
理由を考え、次の行動を変える。そうすれば、うまくいかなかった経験も無駄にはなりません。
自信がついてから始めるのでは遅いこともある
投資でも、勉強でも、仕事でも、十分に自信がついてから始めようと思っていると、なかなか一歩を踏み出せないことがあります。
もちろん、何も調べずに大きなリスクを取ることを勧めたいわけではありません。特に投資では、仕組みを理解し、自分が許容できる損失を考えておくことが必要です。
それでも、すべてを理解してからでなければ動けない、ということでもありません。
まず少額で学んでみる。わからないことを一つ調べてみる。自分の判断を記録して、後から振り返ってみる。
そうした小さな行動を重ねることで、知識も経験も少しずつ増えていきます。
バーバラ・コーコランの経歴から考えたいのは、誰かに否定されても強気でいれば成功できる、ということではありません。
自分に足りないものを認めながら、それでもできることを探して動く。その姿勢は、投資を学ぶときにも参考になると思います。
みなさんは、今「もう少し自信がついてから」と先送りにしていることはありませんか。
大きなことを始めなくても構いません。まず一つ、調べてみる。小さく試してみる。
自信は、行動する前から持っていなければならないものではなく、行動した経験から生まれることもあるのです。



