「移動平均線」とひとことで言っても、
じつはたくさんの種類があります。
これまで紹介してきた
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単純移動平均線(SMA)
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指数平滑移動平均線(EMA)
に加えて、
今回は ハル移動平均線(HMA)、加重移動平均線(WMA)、そして平滑移動平均線(SMMA) を取り上げます。
それぞれ、トレンドの見え方が少しずつ違うんです。
■ 加重移動平均線(WMA)とは
WMAは、過去のデータに「重み」をつけて平均する移動平均線。
SMAは全ての期間を均等に扱いますが、
WMAは「最近のデータほど重要」と考え、
たとえば過去5日ならこんな感じ
| 日付 | 終値 | 重み |
|---|---|---|
| 今日 | 100円 | ×5 |
| 昨日 | 98円 | ×4 |
| 2日前 | 97円 | ×3 |
| 3日前 | 96円 | ×2 |
| 4日前 | 95円 | ×1 |
つまり、新しい情報を強調するタイプの平均線です。
特徴は、SMAより反応が速いけれど、EMAよりはややなめらか。
トレンドが変わるときに「初動をとらえたい人」には向いています。
たとえるなら、「最近のニュースを重視する現実派」。
■ 平滑移動平均線(SMMA)とは
SMMA(Smoothed Moving Average)は、
「短期のノイズ(ガチャガチャした値動き)」を取り除いて、
なだらかにトレンドを見たいときに使う線です。
EMAが“敏感すぎる”と感じるときに、
SMMAは穏やかに平均化してくれる役割を持っています。
イメージでいえば、「感情の波を整える調律師」。
MT4などFX系チャートでよく使われ、
相場の「大きな流れ」を静かに見たい人にはぴったりです。
■ ハル移動平均線(HMA)とは
そして最後に、今回の主役ともいえる
ハル移動平均線(HMA)。
これは、オーストラリアのトレーダー アラン・ハル(Alan Hull) 氏が開発したもので、
「反応の速さ」と「滑らかさ」を両立させた、まさに進化系の移動平均線です。
HMAは、加重移動平均(WMA)をベースに、
独自の計算式で遅れ(ラグ)を減らしています。
結果として、
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SMAよりも速く反応
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EMAよりも滑らか
という、理想的な動きを実現。
たとえるなら、「先を読む勘の鋭いバランス型プレイヤー」。
トレンドの曲がり角を読み取るのが得意で、
アラン・ハル氏も「クロスよりもカーブ(曲がり)を重視せよ」と語っています。
■ 比較してみよう
| 種類 | 特徴 | 強み | 弱み | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| SMA | 均等に平均 | 安定・多くの人が見る | 反応が遅い | 大勢の流れを見たい人 |
| EMA | 新しいデータを重視 | 反応が早い | ダマシも多い | 変化を早く捉えたい人 |
| WMA | 重みづけ平均 | 初動に強い | 少し荒い | スピード重視派 |
| SMMA | 滑らかに平均 | ノイズを減らす | 鈍感すぎることも | 長期トレンド派 |
| HMA | WMAを進化させた形 | 速くて滑らか | 設定が少し複雑 | 曲がり・転換を狙う人 |
■ きらトレメモ 💡
SMAは「みんなが見る線」。
EMAは「トレンドの呼吸を感じる線」。
HMAは「未来の動きを予感させる線」。
たとえどの線を使っても、
目的は「未来を当てること」ではなく、
変化の兆しを感じ取ること。
あなたのトレードスタイルに合うパートナー線を、見つけてみましょう。



